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JMRA九州・沖縄地区ブログ

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九州民家塾 in 八女上陽レポート①

9月の最終日曜日、福岡県八女市上陽町で民家塾開催   
IMG_2905s.JPGIMG_2911s.JPG 今回は、矢部川の水運を利用して、水車で杉の葉線香を作っている馬場水車場を訪ね、その後、昨年大きな被害をもたらした九州北部豪雨による矢部川の氾濫についての検証を元国交省の河川部の第一線で活躍され、現在は八女市文化財専門委員の馬場紘一さんにお話しをいただきました。 3回に分け、レポートします。
 まずは馬場水車場へ。
IMG_2920s.JPG 
八女は杉線香の原料となる杉粉の産地です。杉の葉は、伐採後の杉山に残った葉を使用します。乾燥させた杉の葉は水車の動力を利用して60kgの杵でついて粉末にします。電気の粉砕機で粉末にする場合に比べ、熱をもたないのでより細かい粉末にできるそうです。通常ならこれに糊と水を加えて捏ね成形するのですが、ここが馬場さんのこだわりで、糊の代わりにタブの葉を入れて粘りを出すそうです。この配合は、季節により、また杉の種類により少しずつ違うので、長年の経験と勘で調合します。細長い線香に成形した後、乾燥させるのですが、これも杉山に残る杉の枝を薪の原料として焚くそうです。
杉の木を余すことなく使う
a2900e2e.jpeg 馬場さんによる丁寧な説明と、実際に水車が杉の葉をつく様子を見ると自然の恵みですべて作られた杉粉に感動し、水の音と水車が回る音、杉の香りが本当に心地よく感じられました。杉という木は、構造材として柱や梁に使われるだけでなく、建具や桶や道具など、昔から人々の暮らしと密接に関わっていました。杉の幹は勿論のこと、皮、枝、葉っぱに至るまで使えないところは何一つなく、大事な大事な資源であったことがよくわかります。ゆえに、人は杉を植え、手入れをしていくことでその自然のサイクルが成り立っていました。
日本で2軒しか残っていない
 30623b6b.jpeg 八女にはかつて40軒以上の線香水車が稼働し、今では馬場さんのところと、日光の2軒になってしまったそうです。日本全国でも栃木県の日光にあるだけで、安価な輸入品との競争、後継者不足、水車から電力への転換などにおされています。グローバル化が進み、物の関係性が見えなくなり、物への価値感が価格だけとなり失われていくことが、日本の昔からの知恵や工夫により育まれてきた自然の営みの中から生まれる物や技術が少なくなっている原因であるような気がしてなりません。馬場さんのお線香は昔ながらの製法で、電気などのエネルギーを全く使わず、科学的な香料や染料も一切使わず本当にエコで私たち人間にとっても安心で安全なお線香です。今現在市販されている線香の多くは原料が輸入品で、化学的な成分が含まれているものが多く、本当に安心して使えるものかよく吟味しなければいけないと思いました。

■馬場水車場の線香はPANDA SHOP(WWF)で購入できます
(次回につづく)

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